「私、好きな人が出来たの!」
頬を可愛らしくピンク色に染め上げて、は告げた。

その報告を受けたユーリとフレンは、雷が落ちたような衝撃を受けた。


「う、うっそだろ、お前!?」
、今日はエイプリルフールじゃないんだよ。」
ユーリは、がしっとの肩を掴んで揺さぶる。
隣のフレンはにっこりと酷い事を言っている。

二人とも、信じられない。
否、信じたくないのかもしれない。

「ユーリ、痛いって!二人とも、ちょっと失礼なんだけど!」
は、ぷくっと頬を膨らませる。


「まさか、お前みたいなお子様から、恋だの何だの聞くとは思わないだろ。」
「…で、相手は誰なんだい?」


「えへへー、レイヴン先生!」


その言葉に、二人は再度衝撃を受けた。


レイヴン先生…レイブン先生!?

二人の頭には、草臥れた白衣を着た、常にやる気の無さそうな保険医の姿が浮かぶ。
その人物は、あまりに予想外過ぎた。

「なんだって、あんなおっさんを…!」
「何でだって、いいでしょ。二人とも、先生と結構仲良いみたいだからさ、協力して欲しいなーなんて。」

上目遣いで見つめられると、二人は弱い。
しかし、それとこれとは話が別だ。

「イヤだ。」
「ごめん、僕も断る。」

「えー!そんなぁ…」
てっきり二人の事だから、協力してくれると思ったのに…。


「他力本願は良くないって言ってんだ。もし、アイツの事が本当に好きなら、オレ達に頼らないで自分で頑張れよ。」
「ユーリの言う通りだね。」
もっともらしい事を言うユーリだが、全くの口から出まかせだった。
本心はただ単に、あんな胡散臭い親父に、を渡せるかという嫉妬心である。
フレンも、ユーリのそんな内心を分かりつつも同意する。
というより、フレンも同じ気持ちだった。

「うん、そうだね。分かった、私一人で頑張ってみる。」

「おー、頑張れ頑張れ。」
「僕達も、応援してるから。」
「ありがとう!」
ユーリもフレンも心にもない声援を、は素直に受け取った。
嬉しそうな笑顔に、少しばかり罪悪感を覚える。






そのまま、立ち去るを見送ったユーリとフレンは、途端に顔つきを険しいものに一変させる。

「まさか…アイツがおっさんに惚れるとは…」
「どうするんだい、ユーリ?」
「どうするもこうするも、決まってんだろ!」


邪魔者は潰す!


二人は、保健室に急いだ。



「よぉ、おっさん」
ユーリは、保健室の扉を乱暴に開けた。
消毒液の独特の匂いが鼻をつく。

「あれー、ユーリ君にフレン君じゃないの。どったの?」
問題のレイヴンは、保健室の椅子に座って、一人ぼうっとしていた。
どう見ても元気そうな二人を見て、首を傾げる。

「いやー、ちょっとなぁ。」
答えるユーリの顔は凶悪だった。
「な、なによ…」
レイヴンは嫌な予感がする。


の事、どうやってたぶらかしたんですか?」
にっこりと切り出したのはフレンだった。
「ちょ、たぶらかすって人聞きの悪い!おっさん、なーんも身に覚えないんだけど…!」
「言い訳は要りませんので、正直に答えて下さい。」
フレンはどこまでも笑顔なのだが、何故か黒いオーラを醸し出している。

「あ、あれ〜、フレン君ってそんなキャラだったっけ?」
「そんな事はどうでもいいですよね?」

にこにこ。
笑顔で迫るフレンに、レイヴンは引き気味だった。

ちらりとユーリを見るが、彼が親友を止めるはずも無く。

「ほら、とっとと答えろよ、おっさん。」
こちらはこちらで、レイヴンを睨んでいる。


二人からの威圧に、だらだらと汗が流れ出る。

「ほ、ホントに身に覚えがないんだけど…。」
「嘘だろ?」
「イヤイヤ、ホントだって!……あ〜、この間、怪我したって保健室に来たっけなあ。」
思い出すように、レイヴンは顎に手をやる。

「その時に、不埒な事はしてませんよね?」
してたら殺す、と目が言っている。
「するわけないでしょ!おっさん、これでも教師よ!?」
「おっさんだからなー。」

どれだけ、二人から信用が無いんだろうと肩を落とす。

「でも、本当に、それだけで…?」
「そうよ。だって、おっさんあんまりちゃんと面識無いし。」


そこへ、噂のが現れる。

「レイヴン先生!って、あれユーリにフレンも…」
ちゃん!」
レイヴンは、天の助けとばかりに顔を輝かせる。

「おっさん、ちゃんに何もしてないよね!?あの二人によぉーく説明してあげて!」
「へ?」
状況が分からず、首を傾げる。

「この間、怪我の治療した時に、変な事したんじゃないかって勘ぐってるのよ!お願い!俺様の無実を証明して!」
見れば、ユーリとフレンがレイヴンを取り囲んでいる。

「はぁ!?二人ともそんな事先生に聞いたの!?何考えてるのよ!先生が何かするわけないじゃない!」
怒りで顔を赤くする
「だってなあ、おっさんだし。」
ユーリは、どうしたものかと頭を掻く。

ここで理由を言ってしまえば、の想いがレイヴンに伝わってしまう。

「何でそんな事聞いたの!?二人とも信じられない!」
更に怒りを募らせるを、レイヴンが宥める。
「まぁまぁ、ちゃん、落ち着いて。おっさんも、疑いが晴れればそれで良いから。」

「先生がそう言うなら…」
まだは何か言いたそうだったが、とりあえず追求から逃れられて、ユーリ達はほっとした。

「あの、先生…」
は、気持ちを切り替えて、レイヴンを見つめる。

ユーリ達は、今ここで言う気か!とぎょっとする。


「私、先生の事、好きなんです…!」
「…え?」
レイヴンは、目を瞬かせる。

「冗談で言ってるんじゃなくて…!本気なんです!」
「それって、ライクじゃなくて、ラブって意味で…?」
「そうです!」

まさかこんな若い女の子から告白される日が来ようとは。
信じられずに、ぽかんとしてしまう。

ユーリ達がやたら突っかかってきた理由は、これかと納得する。

顔を真っ赤にさせるは、確かに可愛いが。

「ごめんね、ちゃん。おっさん、その想いには応えてあげられないよ。」
「……」
ちゃんは若くて可愛いんだから、こんなおっさんよりも、良い人が居るよ。」
「……」
は、顔を見られたくなくて俯いた。
きっと自分は今酷い顔をしている。
上手くいくなんて思っていなかったが、こうして断られるのは、やはり悲しかった。


「おっさんの分際で断るたぁ、イイ度胸じゃねぇか。」
ユーリは嫌味たらしく呟いた。
応援する気など無かったのに、の落ち込む姿を見ると、それはそれで腹が立つものである。
おそらく、隣に立つフレンも同じだろう。


「分かりました…。先生が、私の事好きじゃないって事は…」
そして、はきっと顔を上げた。
「でも、先生より良い人なんていません!」


「断られても、やっぱり私先生の事好きなんです!」
の言葉に、ユーリ達がぴくりと反応する。

「い、いや、気持ちは嬉しいけど……ユーリ君達がこわーい顔してるっていうかぁ…」
思わず本音が零れるレイヴン。
我が身は可愛いのだ。
このまま二人の殺気を浴びるのは、勘弁したい。

「なんで、二人が怖い顔するの!?」
ムッとはユーリ達を睨みつける。
「……。」
目を逸らす二人の変わりに、レイヴンが苦笑交じりに言った。
「二人はちゃんの事が可愛くて仕方ないんだねぇ。こんなおっさんに取られたくないのよ。」
「?」
二人の気持ちをよく分かっていないは、疑問符を飛ばしている。

「このままだと、おっさん二人に何されるか…」
とりあえず死にたくない。
そう思ったのだが、の答えは、レイヴンの期待するものと違っていた。
「それなら、大丈夫です!私が先生を守りますから!」
「え?」
「二人には、先生に手は出させません!」
「そ、それは心強いなあ…」
棒読みのレイヴンにも、は気付かず、「任せて下さい!」と胸を叩く。


「好きになって貰えるまで、頑張りますから!これから、覚悟して下さいね、先生!」

は、レイヴンの心臓を打ち抜く真似をした。







ある保険医の受難



(俺の体、持つのかねぇ…色んな意味で。)

(おっさん、正直に言え。さっき、にトキめいただろう)
(ユーリ君鋭いし…)

































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伊瀬さまから2個もいただいちゃいましたよ!!
再びレイヴンせんせーですよ!!
今度は黒フレンも登場ですよ!!
なんだろう、なんでフレンは黒いのがこんなにもお似合いなんだろう(笑
やはり丁寧キャラはギャップが!なのかしらー!!
黒フレン、素敵過ぎます(*ノノ)
そしてレイヴン、もっと振り回されるといいよ><
私はレイヴンが 弄られるのが 大好きです(マテ
そうか私はSだったのか(笑
伊瀬様素敵夢をありがとうございます〜
伊瀬様の素敵HPはブックマークから!!是非是非!