放課後の物理学室は、ひっそりとしていた。
何やら書類を見ているレイヴンを、は見つめていた。

「ねー、せんせー、先生と私って付き合ってるんだよね?」
可愛らしく小首を傾げるに、レイヴンは、やる気のない返事をする。
「まーそういう事になるんじゃないの?」

「何ソレ!」
が怒るのも当然だった。

「告白したのも私だし、レイヴン先生、いっつも他の女子にデレデレしてるし…」
「いやぁ、俺様くらいになると、女の子が放っておかないのよねー。参っちゃうよねー。」
腰に手をあて睨んでも、レイヴンは焦る様子もなく、淡々としている。

「もういい!私も浮気してやるっ!」

肩を怒らせて、は教室から出て行く。

ピシャリと盛大な音を立て閉められたドアの先を見つめ、レイヴンは頭を掻いた。

「まいったねぇ…」
怒らせてしまったか。

「それにしても、浮気ねぇ…。」
そんな宛てがあるのか。考えて、モヤモヤとした不快感が襲ってくる。

肩を竦めると、立ち上がって、自分も教室から出て行く。










「はーはー…おっさんに、階段はキツイわ…」
ぜーはーと息を切らしながら、校内を歩く。
「あー、カッコ悪。」
呟くが、それでも彼女を探す事は止めない。

そんな自分に苦笑が零れる。












「あれ、先生居ない…?」
その頃、は、物理学室へと戻っていた。

「もう帰ったんじゃねーの。」
浮気相手、ユーリを連れて。

「そんな…。」
の表情が曇る。

確かに自分が勝手に出て行ったのだが、何かしら心配したりしてくれると期待していたのに。
本当に、自分はレイヴンにとってどうでもいい存在なのか。


「ったく、オレならそんな顔させねーのに…。」

「え、何か言った?」

その呟きが聞き取れなかったは、ユーリを見上げようとする。

と、すぐ近くにユーリの顔が迫っていた。

「ゆ、ユーリ!?」
赤くなるに構わず、ユーリはの腕を掴んだ。
「オレならそんな顔させねーって言ったんだよ。あんなおっさん止めて、オレにしとけ。」

そのまま、を引き寄せる。
「え、え…?」
ユーリの声は、思いのほか真剣だった。
掴まれた腕から、ユーリの熱が伝わってくる。



が戸惑っていると、ドアがバーンと開かれた。


「ストーーーーップ!!」

駆け込んできたのは、レイヴンだった。
「人の彼女に何してんの!?」
息も切れ切れに、そう問いかける。

「見れば分かんだろ?今イイ所なんだから、邪魔すんなよ、おっさん。別に、コイツの事なんてどうでもいいんだろ?」
ユーリは、ニッと笑って、の顎を持ち上げた。
「…っ!!や、ヤダってばユーリっ!」


「…いい加減にしないと、俺も怒るよ。ちゃん、嫌がってるじゃない。」
いつもと違う低い声。
身に纏う空気は冷たい。

それに、臆するユーリではないが、呆気なく、から身を離した。

「はぁ、付き合ってられっかよ。」
「!?」
「だーれがこんな色気のない女に手ぇ出すってんだ。そんなのどっかのおっさんくらいだけだっての。」
言ってポンポンとの頭を撫でる。
「良かったじゃねーか、おっさん心配してたみたいだぜ?」
「ユーリ…」

そのまま彼は、教室から出て行こうとする。

「ゆ、ユーリ!!ごめん、ありがとう…!」
「礼よりも、約束のパフェ。忘れるなよ。」
「うん、ありがと…。」



ガラリと扉が閉められ、教室はしんとした空気に包まれた。



「はぁ…」
レイヴンがその場に座り込む。
「だ、大丈夫…!?」
「年甲斐も無く走り回ったから、疲れたわー…」

「先生、私の事、探してくれたんだ…。」
「当たり前でしょ、愛する彼女なんだから。」
「…!先生からそういう事言われるの、初めて…」

さらりと言われたソレは、の頬を染め上げるのには十分だった。

「うん、だって言わないようにしてたんだよねぇ。」
レイヴンはゆっくりと立ち上がった。を見下ろす形になる。

「これ以上、好きになっちゃいけない、好きになられちゃいけないって。」
「なんで…」
「だって、オレと君は、教師と生徒だからさ。色々問題があるでしょ?」
「それは、そうだけど…」
教師と生徒の恋。
よくドラマでも見るから、にも何となく分かる。
だが、それならば…

「告白された時に、断れば一番良かったんだよねぇ。
なのに、年甲斐もなく舞い上がって、OKしちゃって。でも、その後にやっぱり怖くなって、予防線を張ってた。」
自分勝手だよねぇ、とレイヴンは自嘲気味に笑う。

「でも、それも駄目だったよ。ちゃんが誰かに取られるなんて、耐えられない。今回の事で痛感した。」
「先生…」

「オレと付き合うなんて大変だと思うけど、ちゃんは、それでイイの?」
「イイに決まってるじゃん!そうじゃなかったら、私、先生に告白なんてしない!私はそんな軽い気持ちで告白なんて出来ないからね!」
は、勢い込んで答えた。

そんなに簡単に告白など出来るタイプではない。
どうしようか悩んで、凄く緊張して、それでも告白した。
それだけ好きだから。

「好きだよ、先生…」

ちゃん…」

レイヴンは、をそっと抱き締める。





「はぁー、ちゃん、抱き心地サイコー」
気の抜けた声で告げるレイヴンに、は顔を真っ赤にさせる。
「な、何言って…!それに、雰囲気台無し…!」

「あらあら、もっと雰囲気出した方が良かった?でも、焦らなくてもまだまだこれから先は長いんだから。それに…」

そこで一旦区切り、レイヴンはくすりと笑った。
普段からは想像のつかない、妖艶な笑みだった。

「いきなり俺様の本気見たら、の心臓、持たないかもよ?」
人差し指を、の唇に押し当てる。

その凄艶さに、はすぐには言葉が出なかった。
「っ……」
心臓の音が大きくなった気がする。


「せ、せんせい…」
何とか絞り出た声。

レイヴンは苦笑した。

「とりあえず、その先生っていうの、禁止ね。二人の時だけでも、レイヴンって呼んで。」


「れ、レイ、ヴン…」
ただ名前を呼ぶだけなのに、凄く気恥ずかしい。
顔が熱くなって、声が震える。

「よく出来ました。」

ちゅっと軽い音をたてて、レイヴンがの口に触れるだけのキスをする。

「なっ…な…」
は熱い顔が更に熱くなるのを感じた。
「良い子には、ご褒美あげなきゃね。」


そして、もう一度キスをする。
先程より長いが、優しいゆったりとしたキス。

「好きだよ、。」




打ち砕けたフラジャイル

































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うふふふふふふふふ。
レイヴンせんせーですよ!!
先生と生徒の恋ですよ!!
やばくないですか!?!?
しかもユーリまで友情出演ときて!!!!
これは悶えるしかないってわけです><
そしてレイヴンせんせーの本気みてみたいです(*ノノ)
心臓もつ自信はありませんが(笑
素敵な夢を伊瀬様ありがとうございましたー!!!
伊瀬様の素敵なHPはブックマークから行けますので是非皆様GO!!ですよ〜