窓枠にもたれかかったユーリの眼下を、下町の人々が忙しなく過ぎる。

夏が過ぎ、秋が深まる様相を見せる帝都において、この時期はよりいっそう忙しい時期である。
下町で暮らすユーリにとっても例外ではなく、近頃は忙しい日々を送っていた。

しかしそれも昨日までで、只今のユーリは暇を持て余していた。
いつもなら、用もないのに押しかけてくるの相手で大抵一日がつぶれるのだが、
そんなは朝から彼女が働くお店に顔を出しにいっていた。

ユーリは、しばらく何とも無しに眼下に広がる下町の景色を見ていたが、
いつまで見ていてもその景色は変わるはずが無く、
ついにユーリは窓枠から立ち上がり、ベッドに倒れこんだ。


「暇だな・・・・・・」


欠伸と共に漏らした言葉に、軽く扉を叩くトントンという音が重なる。

下町のユーリの部屋を訪れるものなど、限られている。
その中の一人、テッドは先程母親と共に買い物に出かけたばかりである。
は前述のとおりで、ともすれば・・・・・・と、考え付いた答えに、
ユーリの目はすっと細められる。
ベッドから起き上がり、開いてんぞ、とそちらに声を返すと、


「お邪魔するよ」


かちゃりと音をたて入ってきたのは予想に反した人物、フレンであった。


「なんだフレン、お前かよ。
 ―――まぁそもそもあいつは律儀にノックなんてしないか・・・・・・・」


神出鬼没である"彼"はまともに現われた事がない。
それはユーリも十分知っていたはずであったが、つい先日の出来事の後である。
もしやと思った予想が大きく外れた結果に、ユーリは小さく肩を落とした。


「なんだとは酷い言い草だね、ユーリ。
 それにあいつって誰のことだい?」


ぼそりと漏らしたユーリの言葉を聞きとがめたのか、フレンがそれを問うてくる。


「ん?ああ、あいつってのは・・・・・・」
「ユーリ!!」


続きを言いかけた時、バタンと騒々しい音を立てて扉が開いた。
それと共に部屋に駆け込んでくる一人の少女。


「ユーリ!あのね!!
 ―――ってあれ?フレン?
 こんな所にどうしたの?今日はお休み?」


少女は脇目も振らずユーリの眼前まで迫ると、
ようやく気付いたのか、ユーリの傍に立つフレンに目を向けきょとんと目を瞬いた。


「お前こんな所ってなぁ・・・・・・」


確か以前もこんなやり取りをしなかっただろうか。
記憶にも新しい出来事を思い浮かべ、ユーリが溜息を吐くと、
フレンはユーリと少女の間に割り込み、その顔ににっこりと笑みを浮かべた。


「やぁ、久しぶり。元気してたかい?」
「うん、私は元気よ。
 フレンこそ、最近また忙しくなったんじゃない?
 ご飯、ちゃんと食べてる?」


少女--はフレンの行動に再び目を瞬くも、
にこりといつも通りの明るい笑顔を返し、フレンの顔を見上げた。

今や地位も名誉もあり、そして正に貴公子然としたフレンのその笑顔を前に平然としていられる女なんて、
この世界ではフレンとユーリの幼馴染であるぐらいではないか。
以前もフレンの笑顔を前に卒倒した女達を見ているユーリにとってそれは大いに歓迎すべき事なのだが、
今目の前で繰り広げられている二人の世界は少々面白くない。
今も、「の料理が食べられなくて寂しいよ」との手を取り言うフレンの言葉に対し、
「ほんと?じゃあ、また作りに行ってあげる」と嬉々として返すの言葉を聞いて、
ユーリのこめかみの辺りはもはや限界になりつつあった。


「で、お前ら、"こんな所"にわざわざ何しに来たんだ」


せめてもの反撃にと、未だ見つめあう(にとっては世間話をしているレベルに過ぎないのだが、
ユーリの目にはそう映った)二人の間に割り込み、"こんな所"の部分を強調してユーリは言った。


「僕はここに来ればに会えると思って」
「そうそう!お店の休憩時間に外に出たらね、丁度そこで・・・・・・」


しかし返ってくるのは、フレンのしれっとした顔と、の手をぽんと叩く音で、
当然ながらユーリの反撃は不発に終わる。
ついでにユーリの腑抜けた顔を見に、とか何とかふざけたことをぬかしているフレンは置いといて、
反撃が不発に終わったショックよりも、の言葉に続くように姿を現した人物に、
ユーリははっと目を見開いた。


「・・・・・・・・・・・・」
「デューク・・・・・・」


影のようにに寄り添う男は、正に冒頭の話題に出た人物に他ならなく、
ユーリは小さくその名前を呟いた。


「この前二人とも仲よさそうだったじゃない?
 だから丁度いいと思ってつれてきちゃった」


を間に挟み、半ば睨みあう形となったユーリとデュークを他所に、
はそう言って輝かんばかりの笑顔を浮かべた。


「もしかしてさっきユーリが言ってたあいつって彼のことかい?」
「いや・・・・・・」


フレンが言っていることは間違いではない。
間違いではないが、何故かそれを認めたくなくて、ユーリは言葉を濁した。
しかし、それを良いように解釈したのか、
両手を胸の前で組んだが、きらきらと目を輝かせる。


「なになに?ユーリもデュークのこと話してたの?
 それならやっぱり連れてきて正解だったね!」


デュークは来るのを嫌がったんだけど、との談ではあるが、
それは至極当然の反応である。
会いに行った好きな女に連れられて、ライバルの男の家に行くなど、
普通では考えられない話なのだ。
しかしそんな常識など通用しないのがこのという少女であり、
それに振り回されっぱなしなのは惚れた男の弱みであった。


「それにしてもユーリにこんな知り合いがいるなんて知らなかったよ」
「いや、知り合いと言うか・・・・・・・」


フレンの言葉に一応は返すが、ふと、自分もデュークのことは良く知らないと思い返す。
というのも、いつのまにかの傍に現われて、
いつのまにかそこにいるのが当然のように振舞う彼に、その存在がごく自然のことに思われて、
ユーリも疑問には思わなかったのだ。


「デュークは私の恩人なのよ。
 以前酔っ払いに絡まれてるところを助けてもらったの」
『え!?』


口を噤んでしまったユーリの代わりに、言葉を引き継ぐ
しかしその内容はユーリとフレンにとって衝撃な事実であり、
二人は息ピッタリに驚きの声をあげた。


「いつのまにそんなことが・・・・・・」
「お前、そんなこと一言も言ってなかったじゃないか」
「だって言ってないもん」
「お前なぁ・・・・・・」


の働くお店は所謂裏道に近いところにあり、
夜ともなれば酔っ払いがたむろしやすいのか、決して治安が良いとはいえなかった。
だからこそ以前から注意をしていたのだが、
根っからの楽観娘であるは全く取り合おうせず、
ユーリ達が説得を諦めたのはつい最近のことである。
それもあってか、も酔っ払いに絡まれたことを言わなかったのであろう。
咎めるように言葉をかければ、頬を膨らませてはそっぽを向いてしまった。

しかし武術全般からきしなでも唯一雷の術だけは何故か扱えた。
それを使えばそこらの酔っ払いなど簡単に撃退できる筈である。
そう言えば、人に向けたら危ないじゃないと返ってくる。
この前はユーリ達二人に思いっきり使っておいて、どの口がほざくのか。


「そう言うときこそ使えよな・・・・・・」


呆れて物も言えず、盛大に肩を落とせば、すっと過ぎる影が一つ。


「ダメだよ
 今度危ない目にあったらちゃんと僕に言って。
 すぐに駆けつけるから」
「うん、分かったフレン」


過ぎった影はフレンで、フレンはの目の前に立ち、その両手を優しく握った。
それには素直に頷く
フレンはそれを見て満足げに頷くと、今も静かに佇むデュークの方に顔を向けた。


「それと君、デュークさん、と言ったかい?
 を助けてくれてありがとう。
 彼女の兄代わりとして、お礼を言うよ。
 ほら、も頭下げて」
「いや・・・・・・それは構わない」
「もう、フレンったら堅いんだから〜」


フレンが律儀にお礼を言うと、デュークはそれを拒否するかのように目を伏せた。
フレンによって頭を下げさせられていたは、デュークのその態度に、
デュークもこう言っているんだからと、水を得た魚のようにぱぁっと表情を明るくさせ顔をあげた。


「いいのかフレン、そいつものこと狙ってるぞ」
「なんだって・・・・・・?」


その様子を見ていたユーリは、に聞こえない程度にぼそりと呟く。
それを聞きとがめ、ぴくりと動くフレンの肩。
狙うとは聞こえが悪いが、事実、デュークがライバルであるのは先日発覚したばかりである。


「嘘じゃないぜ、この前俺、宣戦布告されたし」
「それは聞き捨てならない話だね・・・・・・」


フレンとユーリは幼馴染でもあり、を取り合う仲でもある。
勝者は言わずもがなだが、過去にはを巡って壮絶な戦いを繰り広げた事もあった。
そして、昔からはフレンにはことさら懐いており、ユーリの方が遥かに分が悪かった。
けれどもそれで諦められるほど、ユーリが可愛い性格であるはずが無く、
これ見よがしにユーリの目の前でいちゃついて見せ、デュークに挨拶を返す呑気なフレンに、
にやりと口元に笑みを浮かべ、ユーリは言う。
すると、今まで穏やかに笑っていたフレンの青の瞳が剣呑に細められた。
すらりと伸びた手にはかちゃりと音を立てて剣が握られており、今にも切りかからんばかりである。


「え、ちょっとフレン!?」
「・・・・・・」


そんなやり取りが二人の間にあったのも露知らず、
突然のフレンの行動に、デュークと楽しそうに話していたは驚きの声をあげる。
しかし、不穏な空気を向けられた当人は平然といったもので、
をそっと横に押しやった後、デュークはフレンに向き直った。


「ほれ、今のうちだ」
「え、ユーリ!?」


一触即発の状態のまま静かに睨みあうフレンとデューク。
正にそれをけしかけた張本人ユーリは、
彼ら二人を横目に、今がチャンスとばかりにぐいっとの腕を引っ張った。
は驚いて目を丸くしたが、構わずユーリは彼女を外へと連れ出した。















「ちょっと、二人はどうするのよ!?」
「あいつらなら大丈夫だろ。仲良さそうだったし」
「どう見てもそういう風には見えなかったんだけど・・・・・・」


部屋を抜け出し街の広場へと向かう道すがら、ようやく我にかえったのか、が声をあげた。
ユーリはの腕を掴んだまま歩き続け、それにしれっとした言葉を返すが、
は不安そうにユーリの家の方を見やる。

の話からすると、ユーリとデュークは仲良く見えるのに、
フレンとデュークの方はというと、どうもそうは見えないらしい。
やはりどこか感覚のずれているに多少呆れながらもユーリは立ち止まりを振り返った。


「ま、ともかくこれで二人っきりって訳だ」
「もう・・・・・・」


にかっと子供っぽい笑みを浮かべ笑うユーリに対し、
返って来るのはどこか諦めたような 小さなの溜息だった。















「そういえば二人で出かけるのって久しぶりだね」
「そうだな・・・・・・」


広場に着くと、既に気を取り直したのか、噴水に腰掛けたが、嬉しそうにぶらぶらと足を振る。
それをなんとも無しに見ながらも、軽く相槌を打つユーリ。


「最近は二人とも忙しかったし・・・・・・。
 ―――ね、ユーリは今度の豊穣祭、参加するよね?」
「ああ」


そう、最近忙しかったのは祭りの準備のためで、
舞台のセッティングさえしてしまえば後は暇な男達に比べ、
女達は当日まで料理やらなんやらで忙しいのだ。
だからこそ、と会うのも久しぶりで、
二人きりになりたいと思っても罰は当たらないだろう。

そして祭りのような大勢の集まる場所にあまり興味がないユーリであったが、
そういうことが大好きなに、毎年ユーリとフレンは連れ出されていた。
しかし最近のフレンは騎士団の方の祭事に出ずっぱりで、
の相手をするのはもっぱらユーリであった。

それに豊穣祭の夜には、ある逸話がある。


「良かったあ!私、友達にユーリのこと連れて来いって頼まれてたんだよね」


ユーリが頷くと、が嬉々とした声をあげた。
しかしその内容はユーリにとって聞き捨てなら無いもので、ユーリはじっとを見つめる。


「・・・・・・なあ」
「うん?なぁに?ユーリ」


いつもより低く響くユーリのその声に、訝しげには首を傾げた。


「お前、前言ってたよな?好きな人がいるって」
「え!?!?ユ、ユ、ユーリ聞いてたの!?」
「たまたま、な・・・・・・」


ぼっと火がついたかのように顔を赤く赤らめ、動揺するを前に、ユーリは言葉を濁す。

つい先日、通りすがり様に、とその女友達とが、
楽しげに話している場面にユーリは遭遇した。
とはいえ、距離は十分にあったので話の内容はよく聞こえなかったのだが、
それだけは何故かしっかりと聞こえてしまった。
そして頬を赤く染めるを、遠目ながらもユーリはバッチリと見てしまっていたのだ。


「それで、好きな奴ってあの二人のどっちかってことなのか?」


豊穣祭の夜の逸話とは、成人した男女が星明りの中、二人きりで踊りを踊ると、
その後結ばれるという話である。
ユーリは今年で21で、はこの前20になったばかりだ。
いつものユーリならくだらない話だと笑い飛ばしそうなものだが、
相手となると話は別である。
しかしはユーリを友達に紹介すると言った。
つまりは、にとってユーリは特別な存在などではなく、
好きな相手は他にいるということだ。

それを問いただせば、更に動揺したのか、の手がぷるぷると震えだす。


「わ、私は・・・・・・」
!!!』


言いかけたの言葉を遮り、向こうの方から彼女の名を呼ぶ声が響いた。


「フレン!デューク!」


その声の持ち主はユーリの家においてきた、フレンとデュークで、
は慌てて噴水の縁から立ち上がり、二人に駆け寄った。


「酷いじゃないか、僕達のこと置いていくなんて」
「探したぞ」
「ご、ごめんね・・・・・・」
・・・・・・?」
「どうかしたのか?」


置いていったのは決してではなく、ユーリなのだが、
二人はの目の前で立ち止まると、咎める声を彼女にかけた。
しかしすぐにの様子がおかしいことに気付くと、
彼らは心配そうに優しい声をかける。


「う、ううん、なんでもない!
 さ、帰ろ?今日は私が夕飯をご馳走するよ!」


それに対してぶんぶんと首を振り、努めて明るい声を出すと、は家に向かって歩き出す。
めったに無い顔ぶれが集まったこの日だ。
も腕によりをかける甲斐があるというもので、


「それは嬉しいな」
の手料理は美味しい」
「・・・・・・この点に関しては気が合うみたいだね」
「・・・・・・みたいだな」


フレンとデュークも賛同するかのように、一緒に歩き始め、
は今度こそ彼らに明るい笑顔を向けた。


「・・・・・・・・・・・・・」


その様子を黙ってじっと見ていたユーリは、
遠ざかって行く彼らの後姿も気にせず、ずっとその場に立ち尽くしていた。


「―――・・・・・・ーリ、ユーリってば!!」
「ん?あ、なんだよ、二人と先行ったんじゃなかったのか」


自分を呼ぶ声に覚醒し、振り返れば、フレンとデュークと先に行ってしまった筈のがいて、
すねたように口を尖らせれば、がちょいちょいと招くように指を振った。


「・・・・・・ちょっと耳かしてユーリ」
「?、いいけど・・・・・・」


言われたとおりにの傍に寄ると、
かぷっという可愛らしい音共に、温かい感触が耳に伝わってくる。


「なっ!?!?、お前なにすっ・・・・・・」


今正にユーリの耳はによって齧られていて、
さすがのユーリも最後まで言葉が言え無い程の動揺ぶりである。
慌ててユーリがから飛び退ると、は両手を腰にあて、ぷくーっと大きく頬を膨らませて顔を逸らした。


「ふーんだ!鈍感なユーリなんかちょっとぐらい意地悪しても罰当たんないわよ!!」
「は!?」
「だから、私が好きなのはユーリなのよ!!
 それぐらい気付きなさいよね!!」
「だ、だってお前そんなこと・・・・・・」


たった今の出来事でさえ目を回しそうなのに、
から告げられたのは正に衝撃の告白である。
柄にも無く慌てまくるユーリに、の眉はますます釣りあがった。


「小さい頃ユーリ、私と結婚してくれるって言ったじゃない!!
 あれは嘘だったの!?」
「それは子供の頃の話で・・・・・・」
「・・・・・・馬鹿っ!!!」


確かにそんな約束はした、けれどもそれは子供の頃の話である。
はとうに忘れてしまったものだと思っていたユーリは、
辛うじてそのことを言うと、がぶんと拳を振り下ろした。


「ゆーりのばかばかばか!もう知らないっ!!」
「ちょっ、待て!!おい!」


そのままぽかぽかとユーリの胸を叩いたかと思うと、
はぷいとユーリに背を向けて走り去った。

しかし去り際にきらりと光った雫をユーリが見逃すはずも無く、
の目の前に回りこむと、その腕を掴んだ。


「っ・・・・・・!!人の話を聞けよなっ・・・・・・!」
「・・・・・・放してよっ!!」


手を掴んだまま、強引にこちらを向かせるが、頑なは、ユーリの手を振り解こうとする。
それを見て、ユーリの頭の中で、何かがぷちりときれる音がした。


「・・・・・・っ!?」


ユーリに口をふさがれる形となったの目は驚きに見開かれ、
次第に苦しくなったのか、どんどんとはユーリの胸を叩き出した。
それでようやくユーリはの唇から自身の唇を離し、口元に笑みを浮かべる。


「落ち着いたか?」
「・・・・・・」


息が出来なかったのがよほど苦しかったのか、
はぁはぁと肩で息をするはユーリの問いには答えられそうになかった。
しかし、それには構わず、ユーリは続ける。


「俺は、お前が好きだ。
 それは小さい時から変わらない。
 お前も、そうなのか?」


今までにない真剣な眼差しでじっとの目を見つめると、
同様に真剣な眼差しと共にこくりと小さな頷きが返ってくる。


「ははっ」
「え、ちょっとユーリ!?」


思わず笑い声を漏らした後、
あまりの嬉しさに、ユーリはを抱きかかえ、
驚くを他所にそのままぐるぐると振り回した。


「今日は祝いのご馳走だな」


ようやく満足したユーリがを地面に下ろすと、
は思い出したかのように顔を上げる。


「!!、そうだ二人が・・・・・・」
「まだいいじゃねぇか」
「だめよ!待たせてるんだから!」


再び顔を近づけかけたユーリの額を、ぺしりとの手のひらが叩く。

ユーリの様子が変だったのと、話が途中で終わってしまったこともあり、
気になったはデュークとフレンには先に行ってもらったのだ。
そうともなればゆっくりしていられないと、後からユーリもちゃんと来なさいよと言い残し、
は家へと走っていった。


「ったく、忙しねえな・・・・・・」


既にの後姿は影も形も見えなく、小さく溜息を吐くユーリの周りには、
ふわりとのまとっていた甘い香りが漂うのみである。

まずは豊穣祭の夜、二人で踊ろうか。
毎年嫌というほど練習に付き合わされてはいたが、今回のはまた特別なものである。
ちっとは練習しねえとに怒られちまう。
そう言いながらも、ユーリの口元は笑みの形に歪んでいて、
陽が徐々に沈み、茜色に染まっていく下町の中、
先ほどの余韻を味わうかのようにゆっくりと、
ユーリはの待つ家へと向かい歩き始めた。





(それでどうしてあの時動揺したんだ?)(だって好きな人の話の時、私思いっきり惚気ててそれで・・・・・・)
(・・・・・・)(な、何よ)(・・・・・・いや、なんでもない)


かわいい 狼に 用心!
























































------------------------------------------------------------------------------
1万ヒット記念フリーリクエスト第3弾です。
クドさまに捧げますよー!!
リクエスト内容は以前相互記念で書いたBlack or Whiteの続きで、
フレン参加のユーリ落ち、です。

ユーリをも慌てさせるかわいい狼さんなヒロインちゃんの話の筈が・・・・・・。
結局やっぱりユーリの方が狼でしたっていう話に・・・・・・。
どこがどうしてこうなった!
いや、そもそも三つ巴の筈が、フレンとデュークまるで空気・・・・・・。
ク、クド様、なんか予想とまるで違くなってしまいましたが、
良かったら貰ってやってください><
後半暴走した結果です・・・・・・。

友達に紹介する云々〜は惚気話のネタの末に連れて来いって言われただけなのですよ。
そこら辺の説明入れるスペースが無かった・・・・・・。