「今年のホワイトデーのお返しは無しな」
「は?」
それは唐突に、彼の口から発せられた言葉。
それに対してぽかんと口を開けて、間抜けなまでの自分の返答。
え、だって、待ってよ。
今日はホワイトデー。
曲がりになりにもユーリと私は恋人同士。
付き合いが長いとはいえ、マンネリ化した状況を打破すべく、
今年のバレンタインは腕によりをかけたチョコを彼にプレゼントをした。
それがどうしてこの仕打ち。
多少の間抜け面したって神様は笑って許してくれるでしょう?
「えっと、今なんて言いました、ユーリさん?」
「だから、ホワイトデーは無し」
まぁ、聞き間違いということもあるかもしれない。
口元をやや引きつらせながら、ユーリの顔色を窺えば、
やはり返ってくるのは無情な言葉。
「ええ!?なんで!?」
ああ、神様。私が一体何をした。
せっかくのホワイトデー。
せっかくの彼に甘えるチャンス。
それこそバレンタインの時から楽しみにしていたのに、
時に運命とは私を冷たく突き放すらしい。
「だっておまえ、オレだけじゃなくフレンとか下町の奴等にもあげただろ」
「そ、そうだけど・・・・・・。
でもユーリのには・・・・・・」
確かに、今年は皆にもあげた。
けれどもそれは張り切りすぎて材料が余った分を皆に配っただけだ。
所謂義理チョコというやつ。
本命はもちろんユーリにあげたチョコで。
しかも皆のとは違って、ユーリのものにはある細工をしたのだ。
しかし、この調子ではきっと気付いてくれてはいないのだろう。
「オレのだけにはハート型のチョコが入ってたんだろ?」
「!、気付いてっ・・・・・・!?」
がっくりと落としかけた肩がぐいっと強引に掴まれる。
そして視界に広がるのは、至近距離に迫った、ユーリの紫暗の瞳と、
男なのにずるいといつか自分が羨ましがった彼の長い、長い、睫毛。
「んっ・・・・・・ふあっ・・・・・・」
甘い、甘い、とろけるようなキス。
あまりにも甘すぎて、思わず力が抜けそうになる。
このままではいけない。
逃げようと必死にもがいてはみたが、自分の舌はユーリのそれにがっちりと絡めとられていて。
呼吸さえままならない状況に、私は素直に謝った。
ああ、神様ごめんなさい。
人間、普通が一番です。
「それ、ホワイトデーのお返しな」
「〜!!」
腰を支えられて立っているのがやっとの私に向けて、耳元で囁き、にっと、笑うユーリ。
口の中で転がるのは、さっきのキスと同じ、甘い、甘い、ストロベリーキャンディー。
「こんなの、割に合わないじゃない」
断じてこれは虚勢ではない。
バレンタインデーのチョコレート。
それはが丹精込めて作り上げた、世界でただ一つの贈り物。
そのお返しがストロベリーキャンディー一つとは、文句の一つも言いたくなるというものだ。
けれども、やっぱり返ってくるのは意地悪いまでの、ユーリの笑顔で。
「なんだ、お姫様はもっと濃厚なのをご所望と?」
「〜もうっ!!ユーリのばか!ばかばか!」
「ははっ、来年のバレンタインデーには期待してるよ。
?」
清清しいまでに笑って言ったユーリの言葉に、はて、と一転する私の頭。
バレンタインデーのお返しのホワイトデーがさっきのあれで、
来年のバレンタインは今年のホワイトデーのお返しで。
えっと、それはつまり、あれがこれでそれがあれで・・・・・・。
―――・・・・・・・・・・・・。
行き当たった考えはそれはそれは、恐ろしいものだった。
ぼっと、耳まで赤く染まった自分の顔はまるでりんごのようであっただろう。
しかし、私が大人しくしていると思ったら大間違いだ。
私の顔を見て大爆笑したユーリには、ぽかりと一つ、制裁をお見舞いしてやった。
ストロベリーキャンディーはお好きデスカ?
(いつだってあなたは余裕で)(味なんて、分かるわけないじゃない、ばか!)
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ホワイトデー第2弾ユーリ夢のお届けです。
甘・・・甘甘?
いやむしろバカップル・・・。
なんかギャグチックになってしまいました。
ホントは全部シリアスだったんですけど・・・・・・。
あまりにも目に耐えられなくなってこんな路線に(滝汗
そしてタイトルの下の部分の台詞、
当初は(神様、どうして私にはインディグネイションが使えないのでしょうか)
とかいうのが入ってましたが、変えました><
ヒロインさんがインディグネイション使えたら、ユーリさん大変(笑
まあ、ユーリならきっと平気さ、うん。
第1弾に引き続き、こちらもフリー夢でございます。
いつもと路線が違う感じですけども、よければ(苦笑
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