「え?」
思わずは耳を疑った。
というのも、女四人集まって楽しくおしゃべりをしている最中、
エステルの口から、聞き捨てなら無い言葉が飛び出したからである。
「エステル、いま何て言った?」
「だから、今日はクリスマスだって言ったんです」
「!!」
念を押すかのようにエステルに問い返すが、
やはり聞き間違いではなかったらしい。
それまで寝そべっていたベッドから飛び起きて、
は慌てて外へと飛び出していく。
途中カロルの驚いた顔が見えたが、それも気にはしていられなかった。
「え!?どうしたの!?」
「あいつがクリスマスと聞いて行くとこなんて一つでしょ」
「そうね、一つね」
「??」
が荒々しく開け放った扉に手をかけようとしたままの格好で、カロルは固まっていた。
しかしリタやジュディスは訳知り顔で、走り去るの後姿を見送るのみである。
頭上にハテナを浮かべたまま、助けを求めるかのようにエステルを見ると、
エステルはにこにことカロルに微笑みを向けた。
「あ、そっか・・・・・・」
そこでピンと閃く。
確かにが行くとこなど、ただ一つであった。
小さく合点がいったと呟くと、リタが扉を閉めるようにと言ってくる。
扉は未だ開けっ放しのままで、びゅうびゅうと冷たい風が温かい部屋へと流れ込んでいた。
慌てて扉を閉めれば、3つの視線がカロルへと注がれた。
「それで、あんたは何しに来たの」
「ボクは皆とクリスマスを祝おうと・・・・・・」
リタの問いかけに、縮こまってカロルは答える。
ユーリやレイヴンには、忙しいからといって断られてしまった。
も行っちゃったし・・・・・・と何か肩身の狭い思いを味わいながら、
カロルは手に持つ小さな箱をちらりと窺った。
それはここに来る前、カロルが作ったお手製のケーキであった。
「あの子は放っておいといてもいいと思うわ。
私たちは私たちでお祝いしましょ」
「!、そ、そうだね!!」
それに気付いたジュディスが、テーブルへと手招きをする。
箱の中にはの好きなケーキも入っていたりするのだが、それはまた後で渡せばいい。
ジュディスの助け舟に、カロルはぱあっと顔を輝かせた。
「デューク!ごめん、待った!?」
「いや・・・・・・」
全速力でここまで走ってきたはぜえぜえと息を漏らす。
目の前には、いつもどおりの彼の姿。
きっと、ずっと待っていてくれていたのであろう。
約束の時間はとうに過ぎていた。
「ごめんね、今日がクリスマスだってこと忘れててそれで・・・・・・」
「いい、それより、座れ」
とにかく謝ろう。
そう思ったは矢継ぎ早に言葉を並べるが、デュークは小さく首を振った。
デュークにとってそれは些細な事で、それよりもと、
先程まで立っていた崖の端に腰掛けた後、自分の隣の地面をぽんと叩いた。
「うん!」
デュークの隣、そこはの特等席だ。
は嬉しそうに頷いた後、デュークの隣に座り込んだ。
眼前には数え切れないほどの煌めきが水平線一杯に広がっていた。
「わぁ!すっごい綺麗〜!!
やっぱりこの日が一番綺麗に見えるね!」
「そうだな」
気温や気圧の関係か、どうしてかは分からないが、
今日の日、ここから見える空が、一番綺麗に見えるのだ。
それを発見してからというものの、クリスマスに一緒に空を眺めるのが二人の約束事となった。
「あ!流れ星!!
デューク、願い事言わなきゃ!!」
「そんなに身を乗り出したら落ちるぞ」
座っている場所は崖の端であり、
一歩間違えれば海へとまっさかさまな場所である。
興奮してぐいと身を乗り出すにデュークの窘めの声が掛かるが、
その張本人はさらりとしたもので。
「大丈夫よ、もうそんなヘマ、私もしないわ」
そうが言ったその時、手を付いた場所には地面がなかった。
「―――っ!?」
落ちる、と思った次の瞬間、はデュークに抱きとめられていた。
前かがみになったデュークの銀の髪がの頬に触れ、ぱさりと落ちる。
「・・・・・・いつになっても成長しないな、お前は」
「う〜〜〜」
ほっとしたのもつかの間、すぐに呆れた顔を向けてくるデューク。
それには文句の一つも言ってやりたかったが、
事実、成長してないのは今目の前で実証されてしまった所である。
は悔しげに唸ると、ぽすりとデュークの胸に顔を押し付けた。
とくり、とくりと彼の心臓の音がの耳に伝わってくる。
とくりとまた一つそれが鼓動を打ったところで、は小さく呟いた。
「ねぇ、デューク」
「なんだ」
「エルシフルさま、喜んでくれているかなぁ?」
「・・・・・・どうだろうな」
「もう、デュークってば・・・・・・」
ここはただの丘の上ではなかった。
デュークの友、エルシフルの眠る場所。
かつて、世界の平和を願った彼の人は、今、この時を喜んでくれているだろうか。
星喰みの脅威は去り、魔導器はこの世から失われた。
争いがなくなったとは言い切ることはできないが、今はただ、澄んだ星空が広がるのみである。
墓前に捧げた白い花が、甘い香りを辺りに漂わせていく。
その花は、以前エルシフルが好きだと言っていた花であった。
「ねぇ、デューク?」
再び、はデュークに囁いた。
今度はじっと、彼の瞳を覗き込んで。
「なんだ」
そして彼もまた、じっとを見つめ返す。
紫翠と真紅の瞳は互いの顔を映し出していた。
「来年も、再来年も、その先もずっと、
ずーっと3人でこの景色を一緒に見ようね」
「そうだな」
「ずーっと、ずーっと一緒だよ?」
「ああ、ずっと一緒だ」
何度も念を押すに、デュークは何度も頷いてくれた。
それだけでは嬉しかった。
「うふふ、デューク、あったかーい」
はくすくすと笑いながらデュークにぎゅっと抱きついた。
とくりとくりと規則正しく動くデュークの心臓の音は、
にとって心地よい子守唄のようで。
暫くしてはそのまま寝入ってしまった。
それを優しい目で見つめていたデュークは、
自分の着ていたコートをの肩にかけてやった。
すやすやと小さな寝息だけがデュークの耳に届く。
「ずっと一緒、か・・・・・・」
以前それを約束した友は今はもう、遠い空の彼方で。
しかし、あたたかな温もりは、今この手の中にある。
そっと眠るの頬に手を沿え、空を見上げれば、
流れ星が一つ、きらりと瞬いて夜空の向こうへと消えていった。
遠い、流れ星に想いをのせて
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クリスマスフリー、第3弾デューク夢です!!
一番甘甘?
やっぱらぶらぶや、この二人・・・・・・。
というか、らぶらぶさせろとLaVoヒロインが脅すんだ!!(ノ△・。)
いや、もしかしたらデュークが、かも(笑
フリー夢なので読んで下さっている方々に差し上げます!!
またしてもエンディングその後(仮)設定です。
本編はエンディングにたどり着けるかなぁ(苦笑
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