「ユーリ兄、ユーリ兄」
ある日の昼下がり。
まるでペットが飼い主にじゃれ付くようには隣にいた兄、ユーリに抱きついた。
にへらと笑みを浮かべながら腕に擦り寄って顔を覗き込むと、
と同じ色の瞳がキョトンとした瞬きを返した。
「どーした、腹でも壊したか」
「違うわよ!!かわいい妹に甘えられてユーリ兄も嬉しいでしょ!?」
「かわいい、だ?そんなこと、どの口がほざいてるんだ」
ユーリは目をすうっと細めると、の頬を摘んで引っ張った。
思ったよりも弾力のあるほっぺたはユーリの手の動きに合わせて左右へと伸びていく。
「いひゃいいひゃい」
それにはさしものも抗議の声を上げたが、頬をユーリにつかまれているため、
その声はちゃんとした言葉にはなっていなかった。
バシバシとユーリの腕を叩けば、ようやくの頬は彼の手から開放される。
「これでちっとはかわいくなったろ」
「どこがよ!!」
ユーリの満足いくまでつねられた頬はじんじんと痛かった。
鏡で見れば絶対赤くなっているであろう。
これではかわいくなるどころか、正反対だ。
しかし再度の抗議の声もユーリには届かず、
両腕を組んで背中を壁に預けたユーリはに向かってにやりと笑った。
「・・・・・・で、何がお望みなのかね、お姫様?」
ユーリには妹の考えはすべてお見通しで、
それをわかった上での先ほどのやり取りであったのだ。
まぁ、いつもの兄妹のじゃれあいとも言えるが。
「なーんだ、ユーリ兄にはお見通しか」
「何年お前の兄やってると思ってんだよ」
そう言ってユーリは小さく肩を竦める。
が甘えたな態度をとる時は大抵おねだりの時で。
そんなことは長年の兄をしていれば嫌でも分かるようになる、と。
はそんなユーリの腕に再び抱きつくと、うふふと笑みを浮かべた。
「ね、ユーリ兄、今日暇でしょ?
ちょっと買い物に付き合って!!」
「へいへい・・・・・・そういうこったろうと思った」
再び小さく肩を竦めたユーリのつぶやきは、妹の我侭に度々つき合わされた、
観念したような響きをもって吐き出された。
「・・・・・・なぁ、一体いつまで・・・・・」
「あ!!!ユーリ兄!!ストップ!!」
お店が立ち並ぶ市場の一角。
少し小洒落た軒先のお店の前でがユーリに静止をかけた。
家をでてから、かれこれ3時間ほどが経過しつつあって、
またか、とユーリは小さく溜息を漏らす。
「ここ、ここ」
お店の扉に付いた鈴をカランと鳴らし、中に入ってみれば、
そこはどうやら帽子の専門店のようであった。
ちょうどショーウィンドウに飾られていた商品が気になっていたのか、はすぐにそちらに駆け寄っていく。
そしてじーっとそれを見つめたかと思うと小さく首を振り、ちらりとユーリを振り返る。
それはこれまで寄ってきたお店でも繰り広げられてきた光景であった。
「ったく、いつまでかかるんだか・・・・・・」
最初こそ妹の謎の行動を訝しんでいたユーリも、それが長時間に渡れば飽きるのは当然のことで。
扉のすぐ横に置いてあった椅子に腰掛けユーリが零したのは、勿論愚痴である。
「すいません、これください!!」
ようやく気に入るものが見つかったのか、がレジへと駆け込んでいく声が聞こえた。
は手早く店員にお金を支払うと、ユーリの元へと戻ってくる。
その手に持っていた帽子は・・・・・・明らかに男物であった。
「おい、・・・・・・?」
「はい、ユーリ兄、これプレゼント」
「・・・・・・?」
「ユーリ兄今日誕生日でしょ?忘れたの?」
が選んでいたのは自分自身のものではなく、ユーリの物であったらしい。
はたった今買ったばかりの帽子をユーリに手渡すと、にこりと微笑んだ。
そこでようやくユーリははたと思い当たる。
ついぞ忘れていたが、確かに今日はユーリの誕生日であった。
「つーか、本人の前で選ぶか普通」
「だって、本人がいたほうが合うの選びやすいでしょ?」
「・・・・・・それもそうだな。
―――んじゃ、お前にはこれな」
そう言って、ユーリは一つの帽子を選び取り、の頭にぽすっと被せた。
白い布地に薄紫のレースのリボン、それにお揃いの小花のブローチ。
つばのある帽子はすっぽりとの頭を覆ってしまったが、
風に揺られてなびくリボンは可愛らしくてによく似合っていた。
「わぁ!」
鏡に映った自分の姿を見て、の顔がぱあっと輝いたが、
喜びかけて、はっと我に返る。
「って、だめよ、それじゃお祝いにならないじゃない」
ユーリの誕生日のお祝いのためにが帽子を買ったのに、
そのユーリにの帽子を買ってもらってしまっては本末転倒である。
そう帽子とともにつき返せば、ぽんと優しい手がの頭の上に乗っかった。
そうしてユーリの顔が覗き込んでくる。
「いいんだよ、オレがそうしたいと思ったんだから」
「・・・・・・ユーリ兄のその笑顔、ずるすぎると思う・・・・・・」
とよく似た、ユーリの顔。
けれども妹である自分のものよりも綺麗でかっこいい、その笑顔。
にっと優しげに笑った兄、ユーリの笑顔はいつもながらに破壊的であった。
妹であっても赤面してしまうほどに。
「ん?なんか言ったか、?」
「なーんも!」
赤くなった顔を隠すのに、帽子は役に立ってくれて。
訝しげに首を傾げたユーリの横を走って通り過ぎると、はくるりと振り返った。
帽子に付いたリボンがひらりと翻る。
「負けたほうが今日の夕食当番ね!!」
そう言いながらは路地を駆けて行く。
向かう先はとユーリの家。
つまり先に家に着いたほうが勝者で、後に着いたほうが敗者。
夕食は敗者が作るということだ。
「あ、待て、!卑怯だぞ!!」
「あははは!!」
狭い路地にの楽しそうな声が響き渡り、その後を、ユーリの声が追いすがる。
ひらりひらりと翻っていたリボンはやがて一つの家の扉へと吸い込まれ、
その数分後、おいしそうな料理の匂いが空へと立ち上っていった。
走って並んで、追い越して
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5/16は鳥海さんの誕生日らしいです。
なのでとりうみさんはぴば!!夢。
ほのぼの目指す!!ってことで兄妹ネタですよー!!
日記にあげたのを修正して再upです。
やっぱ兄妹、良い・・・・・・。
ユーリみたいな兄、本気でほしいです。
ユーリに妹いたらぜったい、べた甘ですよね。
表面上は見せないだろうけど(笑
ってことで!!鳥海さん誕生日おめでとう!!
大好きだー!!(マテ
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