ユーリは呼ばれたような気がして、振り返った。
そこは、見通しのいい野原。
とはいっても、以前ユーリが偶然見つけた建物と建物の間にぽっかりとあいた空き地のようなもので、
さほど広くも無く、呼んだ相手もすぐに知れた。
ユーリの幼馴染である、だ。

赤みの帯びた金髪をふわふわ靡かせてがユーリの所まで駆け寄ってくる。
その頭の上には白詰草で作られた花冠がちょこんと乗っかっていた。


「ユーリ、ユーリ、見てこれ。かわいい?」
「へぇ、器用なもんだな」


花をきっちりと何重にも編みこんで作られた冠は、ユーリが触っても崩れることは無かった。
楚々として小さな白い花はの髪によく似合う。


「へへーん当たり前でしょ。
 このちゃんにできないことなんて無いんだから!!」


ぐいっと大きく胸をそらしたは大層自慢げだ。
その横ではの兄、フレンがうんうんと頷いていた。
が増長するのは間違いなくこの兄の所為と言える。


「よく言うぜ、料理はてんでダメなくせに」
「ぐっ……。
 うう、ちゃんと味付けしてるつもりなんだけどなぁ……」


ことあるごとにの手料理を食べさせられているユーリは一番の被害者だ。
腹を壊したのは一度や二度ではなく(この前は甘いはずのフルーツパフェがなぜか激辛だった)
その事を思い出したのか、目に見えて分かるくらいにしゅーんと音を立てての体が縮んでいった。

そう、あまり似ているところのないシーフォ兄妹だが、ある一点だけは同じだった。
それは壊滅的に味オンチだということ。
まぁ自覚がある分、の方が兄のフレンよりましではあるが。

穴があったらそこに埋まりかねない程沈んでしまったをちらりと一瞥すると、
ユーリは肩の上で両手を組んだ。


「ま、人間一つぐらい欠点があった方が可愛げがあるってもんだぜ」
「そうだよね!ユーリもそう思うよね!?」


その救済の一言の効果はテキメンだった。
のしょぼくれていた金髪はぴんと立ち上がり、深い海の瞳は、キラキラと輝く。
それは見事な立ち直りっぷりである。


「ユーリ、何をいってるんだ。
 は欠点があろうが無かろうが、かわいいに決まってるだろう?」
「へいへい、フレンのシスコンぶりもそこまでいくといっそ感心するよな」


この兄なら妹がカエルになろうが、カタツムリになろうが、溺愛するに違いない。
地面をぴょんと跳ねたカエルをなんともなしに眺めながらユーリはそう思った。

同情の眼差しをに向ければ、フレンは何を勘違いしたのか、
ユーリの視線の先からを掠め取っていった。


「言っておくけど、ユーリなんかにはやらないからな」


極めつけとばかりに、フレンはぎゅっとを抱きしめる。


「ちょっ、フレン兄苦しい!!」
「えっ、ごめん」


よほど強く抱きしめていたのか、そこへあがるの抗議の声。
ぎょっとしたフレンはすぐに腕の力を緩めた。
しかしそれはの思惑通りの行動で。
にんまりと笑顔を浮かべたは、その隙を見計らってまんまと兄の腕の中から抜け出した。


「あ、!?」
「ねぇ、ユーリ。大人になったらあたしをお嫁にしてね?」


兄の制止の声も何のその、はユーリに飛びつくと、その耳にささやいた。
それは、確かな、結婚の約束。
知らずユーリの顔には笑みが浮かんでいた。

取り繕うかのようににっと口元に笑みを浮かべると、
ユーリは返事の代わりにくしゃくしゃとの髪を乱暴にかき乱してやった。

頭の上の白く清楚な花冠、それはいつの日か花嫁のヴェールに変わるのだろうか。

その光景を思い浮かべようとした瞬間、
兄、フレンの手によっての体が引き剥がされた。






ゆびきりげんまん

(約束破ったら針千本どころか万本だからね!!)
(甘いよ。僕ならたたっきる)(……二人とも目がマジなんだが……)


























* * *

、ほれ」
「白詰草の……指輪……?」
「婚約には指輪が必要だろ?」
「ユーリ……!!」
「二人とも、僕は絶対認めないからなっ!!」


























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拍手ありがとうございました〜!!
兄弟ネタに味を占めたのか(マテ
今度はフレン兄、ユーリ幼馴染の兄弟ネタです。
フレンが・・・・・・残念なことに(汗

それでこのお話は軽井沢に遊びにいって思いつきました。
軽井沢といったら別荘ウェディング!!
ウェディングといったらヴェール!!
ヴェールといったら花冠!!
後半違うような気もしないでもないですが。
白詰草はショッピングモールの原っぱ散策中に見て、そういえば昔花冠つくったなぁと。
皆様も作ったことありますかね?
今度は四葉を頑張って探そうと思いまーす。