「フーレーン!」


時刻はお昼を回った頃。
仕事が一段落し一息入れようとフレンが椅子から立ち上がると、
少し間延びしたような、けれども見知った人物のそんな声が掛けられた。


「なっ!!?君、一体どこから・・・・・・」


驚いて振り返れば、それはやはり幼馴染ので。
それ自体は何の問題もなかった。
しかし、が立っているところが問題であったのだ。
部屋の出入り口であるところの扉はから見てフレンの向こう側にあり、
どう見てもそれを使った形跡がない。
かといって、他に外につながる場所など、の背後にある窓しかない訳で・・・・・・。

まさかとは思うが、フレンが疑問の目でを窺うと、
にっこりと清清しいまでの笑顔が返ってくる。
その彼女の指は窓をちょいちょいと差していた。

本気で窓から入ってきたらしい。


「また君はそんなとこから・・・・・・
 それにここは・・・・・・」
「はいはーい。すとっぷすとーっぷ。
 どうせまたフレン、女の子なのにそんな危ないことしちゃいけませんだとか、
 年頃の女性が一人で男の部屋に入っちゃいけませんとか言うんでしょ?」


大きく溜息をついて口を開いたフレンの言葉を、肩を竦めたの声が遮る。

確かにが今述べた言葉はすべて、毎度フレンが彼女に言っている小言である。
は聞き飽きたと言わんばかりの態度であるが、
聞き飽きるまでそれをフレンに言わせる彼女にも問題があるのだ。


「・・・・・・分かってるんだったら言わせるようなことしないでくれ」
「別にいいじゃない、私たち、幼馴染なんだし。
 それにこんな高さぐらいどうってことないわよ」


やはり今回もはまるで分かっていなかった。
こちらの心配をよそに、何の問題もないと、彼女は言ってのける。


「何かあってからじゃ遅いから言ってるんだ」


そう、何かあってからじゃダメなのだ。
は大事な幼馴染。
そして、フレンの想い人でもある。

が無茶して危ない目に合うのは、一度や二度ではなかった。
その場にフレンが居合わせればまだいい。
けれども後になってその事実を知る方が、格段に多いのだ。
だからこそ口をすっぱくして言っているのに、
はむっと口を尖らせて、そっぽを向いてしまう。


「もう、フレンったらいつも小言ばかりね。
 ユーリはそんなこと言わないのに」
「ユーリ・・・・・・?」
「ユーリだったら私が剣を振っていても何も言わないし、
 私が夜中に一人で遊びに行っても歓迎してくれるわよ?」
「ちょっとまってくれ」


が言った言葉は、正に問題発言であった。
自分でも驚くほどの低い声での言葉を遮ると、フレンは額に手を当てた。
軽く眩暈がする。


「・・・・・・君は夜中にユーリの部屋に遊びに行くのか?」


それでも一呼吸深呼吸して、ようやくそれだけをに問うと、
はキョトンとした顔でフレンを見つめ返した。


「そうよ?
 ユーリも平気で私の部屋に入ってくるし」
「き、君達はいつのまにそういうっ・・・・・・・!?」
「?、おしゃべりしたり、トランプしたりするだけよ?
 何もおかしなことはないと思うけれど」


にとってユーリはあくまでも幼馴染。
だからこそ平気で部屋を出入りしているのであろうが、
ユーリもそうであるとは限らない。
眩暈どころか卒倒しかねぬ体を奮い立たせると、フレンはくるりと扉に向かって歩き始めた。


「・・・・・・ちょっとユーリのところに行って来る」
「ちょっと待ってよフレン!どうしたの?今日のあなた、変よ?
 赤くなったと思ったら、今度は怒り出したりして。
 熱でもあるの?」


ぐいと上体が引っ張られる感覚がしたかと思うと、のおでこが、フレンのおでこにぴたりとつけられる。


「・・・・・・っ!」


は分かってない、まるで分かっていないんだ。
今は至近距離に迫った、長い睫毛に覆われた零れんばかりの大きな緑の瞳も、
はらりとフレンの頬にかかった、彼女の動きに合わせて揺れる長い黒髪も、
「熱はないみたいね」とその幼い顔に浮かべる明るい笑顔も、
何もかもが男を魅了するのに十分な威力を発揮しているということを。

再びフレンが顔を赤くしていると、
キョトンと目を瞬いたが、小さく首を傾げた。


「もしかしてフレン、妬いてくれてるの?」
「!!」


もしかしなくても図星である。
あれほど分かりやすい態度もないと思うが、は気づいていなかったらしい。


「やだなぁ、フレン。
 ユーリはただの幼馴染よ。
 私が好きなのはフレン、あなただけよ」


くすりと小さく笑ったは、一歩、フレンに近寄った。
フレンの顔をじっと見つめ、浮かべるのは極上の笑み。

それだけでフレンは全て許す気になってしまう。


「君には敵わないな」
「うふふっ、そりゃそうよ。
 私はフレンが好きだけど、
 フレンは私のことがそれよりももっと好きなんだから」


当然でしょ?と言ってのけるの笑顔は正に小悪魔のものであった。

ああ、敵わない、本当に敵わない、完敗だ。
心の中で盛大にお手上げをすると、フレンはにそっと近寄って目元にキスをした。


「フレン?」
「頼むから、僕に心配させるようなことだけはしないでくれ」
「はぁーい」


本当に分かっているのかどうか、フレンの腕の中のお姫様が軽い返事を返す。

惚れた弱み。
大事な
フレンの頭痛の種はまだまだ尽きそうにないようだ。






(ユーリには後で僕からきつく言っておくから)(フレンてば心配性すぎ)

me<you<me?













































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死ネタ以外のフレン夢を書いていなかったことに気付く。
そしてホワイトデーでもフレン夢、書けなかったのであえて拍手夢にしてみました。
フレンってTOVメンバーの中で一番純真なイメージがあるんですが。
どうなんですかね。
振り回されてるフレンもかわいいよってことで。
拍手ありがとうございました!!