ユーリ達の手により、星食みの脅威は去り、世界の混乱は終結した。

ギルドのごたごたが一段落した今、レイヴンは再び白い部屋を訪れていた。















レイヴンは部屋の前に立つと、自身の後ろで結っていた髪を解いた。

そして白い棺に向かい、一歩一歩、ゆっくりと歩いていく。

その彼の右手には、彼女の好きだった花が握られていた。





アレクセイ亡き今、彼女の心臓魔導器を研究するものはおらず、彼女はもう二度と目が覚める事はないだろう。

もうこの目に、彼女の紺碧の眼差しが映る事はない。

彼女の温もりを、この身に再び感じる事はもう出来ないのだ。

その事実に、レイヴンは拳をぎゅっと握り締めた。





一歩一歩、歩きながら、レイヴンは自身の心臓魔導器に手を触れ、それが未だ確かに動いている事を確かめた。

彼女の胸にも、自分と同じ心臓魔導器が輝いているのに、なぜ目覚めないのか。

自身のそれを握りつぶしたくなる衝動を抑え、彼はまた一歩歩みを進めた。





レイヴンは棺の前に跪くと、胸の前で重ねられた彼女の手の上に花束を置いた。

彼はその後、彼女の姿をじっと見つめると、彼女の顔に手を伸ばし、彼女の唇にそっと触れ、その形の良い唇をゆっくりとなぞっていった。

ふと、視線を感じ顔を上げると、彼女がいつのまにかに瞼を開け、紺碧の瞳に自分の姿を映し出していることに気がついた。

レイヴンが驚きのあまりに声を出せずにいると、彼女はゆっくりと、その身を起こし始めた。

そんな彼女の姿に、すぐに彼は気を取り戻し、自身の手を彼女の背に添え、右の手を彼女の右手に向かって差し出した。

彼女は自分の右手をレイヴンの右手にそっと置き、有難う、と彼に柔らかく微笑んだ。

彼女の艶やかな黒髪がさらさらとその肩から流れ落ちるのが見える。

夢にまで見た、彼女の動く姿が目の前にある。

レイヴンはその光景が信じられずに目を瞬いた。

彼女はそんなレイヴンの顔を覗くと、彼の耳に手を当てそっと何かを囁いた。

レイヴンがその言葉を聞き、驚きに目を見開くと、彼女はこの上も無く極上の微笑を彼に向けた。

レイヴンは彼女のその微笑をうけ、「俺も、好きだよ、」と彼女に返し、微笑んだ。





二人は白い、白い、透き通るような白い部屋の中で、互いの指を絡ませ合い、互いに目を閉じキスをした。















二人が去った今、白い部屋に残るはただ、白い棺のみである_________________



































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拍手有難うございました。
以上でシュヴァーン(レイヴン)夢、完結です。
前編と名前を変えてるのは意図的です。クリア後なので。
最初からハッピーエンドのつもりだったので書けてよかったなぁと。
しかし、タイトルがいいのが思い浮かばない;