いちばん いちばん たいせつなもの
それを自覚したのはいつだったか


零れ落ちないようにこの手に包み
たいせつに たいせつに したいと思ったもの


たとえそれが自分だけのものでなくても


どうかこの手を
    この手だけは離さない
            このだけは離さないで




















―大切なのは、「きみ」だから―




















追い抜かないように細心の注意を払い、歩幅を落とす自分の目の前には、
夕闇に照らし出されて、ぴょこり、ぴょこりと跳ねる影。
よほどお祭りに行けるのが嬉しいのだろう。
先程からずっと、小さな影の主--はスキップをしている。
表情にこそは出さないが、その行動はやはり幼い子供のするもので、それにレイヴンは苦笑する。


「ほら、レイヴンはやくはやく〜」


ぴょこりと再び跳ねたあと、その背中がくるりと振り返る。
興奮に上気した頬が、夕焼けに混じりながらも赤く染まっているのが分かる。
すぐにでも駆け出していきたいのを必死で押えているようだ。
しかし、のその態度とは裏腹に、急かされてもレイヴンは歩くのを渋り、


「ねぇ、ちゃん俺様どうしても行かなきゃダメ?」


俺様もう疲れちゃったよ〜と、ゼイゼイとわざとらしく息を吐いた。
すると、の隣を歩いていたハリーが呆れた顔でこちらを振り返る。


「そんなに嫌なら俺がについて行くから、
 レイヴンは帰ってもいいよ」
「え、マジで?」
「ダメ!!!!!」


これはもしやお役御免か?とレイヴンは目を輝かせたが、
それを遮るように、腰に両手を当て肩を怒らせる


「レイヴンも来るの!!」
「え〜ハリーがいるからいいじゃない」


この街の中でなら、お供は一人で十分だ。
ドンの娘も同然なに、手を出す輩もまさかここにはいるまい。
レイヴンはぶーぶーと頬を膨らませる。


「ダメったらダメなの!!
 レイヴンが居なかったら誰がお金払うの!」
「ええ!?俺様お財布係なの?!」


の発言は、まさに自分のお財布を当てにしたもので、
そんな理不尽な、とレイヴンはがっくりと肩を落とす。


「それもあるけど・・・・・・。
 レイヴンがいなきゃ、つまんないでしょ?」


そう言って首を小さく傾げながら、あどけない顔を覗かせた後、


「ほら、いくよ〜」


項垂れた自分にむけて、が小さな手を差し出した。
それをレイヴンはじっと見つめる。


「・・・・・・敵わないねぇ・・・・・・」
「ん?なんか言ったか、レイヴン?」


小さく呟いたレイヴンの言葉を聞き咎めるハリー。
それにレイヴンは首を振って返す。


「いや、な〜んも」


目の前にあるもの。それは、暗く沈みこんだ自分の心を、明るく照らし出す、あたたかな光。
レイヴンはふっと小さな笑みを浮かべた後、自分に差し出された小さな手を握り返した。






























「レイヴン、レイヴンってば!!!」
「ん・・・・・・ちゃん?」


の心配そうな呼びかけに、レイヴンはふにゃっとした声をあげた。
自分は小さなとこれからお祭りに行く所ではなかったか。
寝ぼけた頭では状況を把握しきれなくて、レイヴンはぱちくりと目を瞬く。


「もう、こんなところで寝て・・・・・・風邪引くよ?
 レイヴンもう歳なんだから」


の言葉に驚いて、回りを見渡せば、そういえばこの光景は見覚えがある。
相次ぐ魔物との連戦に、疲れ果てたカロルが休憩を言い出した場所だ。
自分はユーリ達から少し離れた樹の陰に凭れて転寝していたようだ。
それにしても、とレイヴンは思い出す。
先程は聞き捨てならない台詞を言っていなかっただろうか。


「ちょ、ひどいよちゃん、おっさんまだそんなに歳取ってないって!」


確かに自分は自他共に認めるおっさんだが、自分で言うのと、人に言われるのとでは意味合いが違ってくる。
レイヴンは情けない顔をしてに抗議した。
しかし、手馴れた様子のがそれを適当にあしらう。


「はいはい。ほら、さっさと立つ!」
「ねぇ、ちゃん」


を見つめ、幸せな夢の余韻を名残惜しむように目を閉じた後、再び目を開ける。


「ん?」
「抱きついてもいい?」


口元に笑みを浮かべ、できるだけかわいらしく首を傾げて、レイヴンはの顔を覗きこむ。


「なっ!?」
「ダメ?」
「・・・・・・だ〜め」


唐突の要望に、顔を赤らめたは、レイヴンの再度のお願いにも応じず、ふいっと、顔を横に逸らした。


「ええ〜・・・・・・ちゃんのケチ!!」


のつれない答えに、頬を膨らませるレイヴン。
それをちらりと見やった後、


「ふふ〜ん、そんなこと言われても痛くも痒くもありませんよーだ」


はつーんと顎を逸らす。
そんなぁ・・・・・・と情けない声をレイヴンがだすと、


「ほら、いくよ」


がぱっと振り返り、座ったままだった自分に手を差し伸べた。
それは、先程の夢と全く同じ光景で、自然と、レイヴンの顔には笑みが浮かぶ。
この仮初の命がいつまで続くのかは分からない。
けれど、ただ、今はどうかこの時間がいつまでも続きますように・・・・・・。

















































---------------------------------------------------------------------
過去のレイヴンと夢主のお話でっす。
またの名をレイヴンのロリコンが発覚した話(マテ
過去だけに留めようかと思ったけど現在も含めて書いてみました!!
これ書いてたら出会い編も書きたくなってきたー!!
シュヴァーンと初めての遭遇は書くつもりでしたが・・・・・・!
レイヴンのも書きたいなー
そしてこれだけ見てるとレイヴン夢っぽいですな
私的にハリーがちょっとでも出せて満足です><