「おつかれ〜〜」
!おまえどこ行ってたんだよ」


が中央に戻ると、すでに戦闘は終っていたらしい、もう人型魔導器はその動力を停止していた。
見たところ全員たいした怪我はしていなそうだ。


「ごめん、こいつ捕まえてた」


あまりにも暇で、と心の中で付け足しつつ、はさっきの男をリタに差し出した。


「魔核盗んで歩くなんて、どうしてやろうかしら・・・・・・」
「リタ、こわいよ・・・・・・」


拳を握り締め、男を睨むリタには苦笑し、男は怯えて後退る。


「ひぃいっ!やめてくれ!俺は頼まれただけだ・・・・・・。
 魔導器の魔核をもってくれば、それなりの報酬をやるって」


それを聞いてユーリは、男に帝都でも魔核を盗んだか問いただしたが、どうやら違うらしい。
他に黒幕がいるらしく、犯人はその人物に会いに、トリム港に向かったようだ。


「顔の右に傷のある、隻眼でバカに体格のいい大男、ね・・・・・・」


どっかで聞き覚えのある風貌だった。しかしどこで聞いたのだか忘れてしまった。
興味のないことはすぐ忘れてしまう、の悪い癖だ。


「騎士も魔物もやり過ごして奥まで行ったのに!ついてねぇ、ついてねぇよっ!
 くそー!あの騎士の若造め!」
「・・・・・・うっさい!」


喚く男に、リタの攻撃が見事に決まった。


「騎士・・・・・・?フレンかな?」
「さあな」
「まぁ、アスピオに戻ってみればわかるでしょ」


男はリタの攻撃でのびているし、聞き出すことは不可能そうだ。
は話題を変え、リタに向き直る。


「ところでリタ、こいつ気絶しちゃったけど、どうするの?」
「後で街の警備に頼んで、拾わせるわよ」


リタは構わずにそのまま遺跡の入り口へ進んでいった。


「それじゃあ、アスピオに戻るか」


ユーリがそう言ったので、達もリタに続き遺跡を出ることにした。















「肝心のフレンはいませんでしたね・・・・・・」
「その騎士、何者なの?」
「ユーリの友達です」
「え、うそ!??!」


は何気なくエステルとリタの会話を聞いていたが、エステルのその言葉に、驚いてユーリの方を見る。


「言ってなかったっけ」
「言ってない、言ってない。知り合いとは聞いてたけど。
 ・・・・・・ふぅん・・・・・・」
「なんだよ?」
「別に〜」


騎士とお友達なんてユーリも騎士!?似合わなっ!とか思ってしまったのは言わないことにした。
まぁ二人ともお人よしそうな顔をしているし、気が合うのだろう。


「で、なんでそいつがこの街にいるの?」


エステルがフレンが魔導器を直せる魔導士を探しに来たことをリタに説明すると、リタは思い当たる節があったらしく頷いていた。


「ま、とにかくこれでリタの疑いは晴れたのかな?」


はシャイコス遺跡に行く途中に聞いた、遺跡に行くに至った経緯を思い出してユーリに尋ねた。


「まあ、おまえはドロボウよりも研究の方がお似合いだもんな」
「ユーリ、素直じゃないねぇ・・・・・・」
「ほんとです・・・・・・」


ユーリは素直に非を認めなかったが、リタはたいして気にもしていなそうで、すたすたと門のところまで行くと、こちらを振り返った。


「警備に連絡してくるから、先にあたしの研究所戻ってて」
「わかりました」


エステルが承諾するとリタは門の向こうへ消えた。


「ところで、カロール♪」
「な、何?」
「カロル先生の秘儀☆超絶鍵開け術みてみたいな〜♪」


リタの小屋の鍵をカロルが開けたということを聞いていたは、興味津々にカロルに擦り寄る。
1回みてみたかったんだよねぇ・・・鍵開け。





はリタの小屋の鍵をわざわざカロルに開けさせると、満足したのか黒板の方に近づき、座り込んだ。
ユーリ達もそれぞれ思い思いの場所で寛ぎ始める。


「ところでユーリ達はこの後どうするの?」


が組んだ膝に顔を預けながらそう聞くと、ユーリとエステルがの方に顔を向けた。


「わたしはハルルにもどります。フレンを追わないと」
「・・・・・・じゃ、オレもハルルの街へ戻るかな」
「そうなの?じゃあ私もハルルに行こうかな、フレンに会えなかったし」


達が次の目的地を決めてしまうと、カロルが、そんな悠長なこと言ってたら泥棒が逃げちゃうよ。と返してきたが、
ユーリはそんなに慌てる必要はないだろとカロルを諭した。


「待ってろとは言ったけど・・・・・・どんだけくつろいでんのよ」


リタが帰ってきたらしい。
呆れた様な声が玄関から聞こえてきた。
その言葉の対象はまちがいなく寝転んでいるユーリだろう。


「あ、リタ、おつかれさま〜」


がリタに声をかけると、ユーリが立ち上がった。


「疑って悪かった」
「ずいぶん軽い謝罪ね。
 ―――まあこっちも収穫あったからいいけどね」


リタはそう言いながらも、の傍の黒板に書いてある術式と、エステルとを見比べている。
もしかしなくてもあれだろう。
さすが天才魔導少女、すぐに気づいたみたいだ。


「リタ?」


エステルがそんなリタの様子に不思議そうに声をかけた。


「んじゃ、世話かけたな」
「待って、あたしも一緒にいく」


ユーリがお暇する言葉をかけたが、リタはエステルを見るのをやめ、ユーリの傍まで歩いた。
カロルは驚いたような顔でリタを見る。


「え、な、何言ってんの?」
「まさか、勝手に帰るなってこういうことか?」
「うん」
「いいのかよ?おまえ、ここの魔導士なんだろ?」
「いいんじゃない?リタにハルルの結界魔導器、一応見てもらいたいし」
「ふーん、ま、勝手にしてくれ」


が会話に口を挟むと、ユーリは手をひらひら振り、どうでもよさそうにそう言った。
はユーリのその行動を目で追った後、リタの方を見れば、エステルが嬉しそうにリタに駆け寄り手を差し出しているのが見えた。


「な、なに?」
「わたし、同年代の友達、はじめてなんです!」
「あ、あんた、友達って・・・・・・」


リタはそう言いながらも頬を赤らめ、心なしか嬉しそうにしているように見える。


「ま、私は同年代とはいえないしなぁ・・・・・・」
「え、えぇ!?っていくつなの?」


がぼそっと言った言葉がカロルには聞こえたらしく、驚いたような声をあげた。
はその様子が面白くて、逆にカロルに聞いてみることにした。


「んー?いくつに見える?」
「え、エステル達と同年代じゃないなら・・・・・・ユーリと同じぐらいかなぁ・・・・・・」
「ん?オレ?」
「私、ユーリと同い年だって♪」


ユーリと同じかぁ、とが嬉しそうにしていると、え、違うの?と言うような顔でカロルがこちらを見る。


「結局いくつなの〜!!!」
「ふふふ、ないしょよ、ないしょ。
 ―――さ、ハルルに向かいましょ」


カロルは地団駄を踏んでいたが、は唇に人差し指をあて微笑むと、それに構わずにアスピオの入り口へ向かう。


「謎、だな」
「そうですね・・・・・・」
「17、8くらいに見えるのに・・・・・・」


そんな会話も後ろから聞こえたが、は聞こえない振りをした。