ハルルを出て数刻後、一行はアスピオの外壁にたどり着いた。
洞窟を切り出して作られている為、相変わらず街全体が暗い。
明るい外から急に暗い所に入ったものだから、軽く眩暈を感じつつも、達は通行証を見せ、門を通りすぎた。
入り口から左手にある図書館らしき所で情報収集したところ、フレンはすでにアスピオにいないらしい。
代わりにユーリの目当てのモルディオという人物は、入り口から右手に降りる階段先にある小屋にいると分かった。
はフレンもいないことだし、知人に会うとユーリ達に告げて皆と一時別れた。
「トート、おひさしぶり」
は目当ての人物を見つけ駆け寄った。
会ったのはだいぶ前だし、覚えているだろうか。
「か、ひさしぶりだな」
「覚えてくれてたのね」
「ああ」
トートはアスピオに住むクリティア族で、クリティアの文化、伝統を継承しつつ、ここで研究をしているらしい。
以前調べ物をしにここを訪れたところ、ひょんなことで意気投合し、度々が会いに行く人物だ。
「皆、元気にしてる?」
「ああ、長老なんかはまた幻のキュウリの話をしていたよ」
「キュウリ、ね・・・・・・長老はまた、それ・・・・・・」
達がそんな話をしていると突然なにかが壊れるような轟音が右手から聞こえてきた。
「な、なに?」
「あれは・・・・・・モルディオの小屋からかな」
トートが轟音が聞こえてきた方を見てそう言った。
それにははっとする。
「ユーリ達が行ったところじゃない!
―――ごめん、トートまたこんど!!」
「ああ、気をつけてな」
「うん!」
は振り返らずにトートに手をひらひらふり別れを告げ、階段を駆け下りた。
「皆、大丈夫!?!?」
はモルディオの小屋に駆け込み周りを見渡した。
エステルは何故か玄関に立っていたが、部屋の様子は特になんともないようだ。
「!!」
「何、あんた」
「すごい音が聞こえたから見にきたんだけど・・・・・・カロル、大丈夫?」
ちょうど玄関から左手に、煙りにまみれたカロルの姿がみえた。
その正面には、沢山の本に埋もれるようにして一人の少女が立っていて、こちらを見やっていた。
「あんたもこいつらの連れ?じゃ、あんたもついてきなさい」
「は関係ないよ!!」
「え?えぇ?」
は訳も分からず目を瞬いて、カロルに説明を求めたが、痺れを切らしたらしく、少女が会話に割り込んでくる。
「そんなことより、捕まる、逃げる、ついてくる、ど〜すんのかさっさと決めてくれない?」
「どっか、いくの?私もいくよ?」
と、が言うとユーリは溜息をついた。
「わかった。いってやるよ」
「シャイコス遺跡は、街を出てさらに東よ」
少女はリタ・モルディオといって、ユーリが追いかけていた人物だそうだ。
事情はよく分からないが、シャイコス遺跡という所に行くらしい。
少女がさっさと身支度を済ませ、外に出て行ってしまったので達は急いで後を追った。
シャイコス遺跡の中は思ったより広く、どこからか光が漏れているのかほんのり明るかった。
その有様はどこか幻想的な雰囲気さえ醸し出していた。
「わぁ〜きれい〜〜」
「遺跡なんて入るのはじめてです・・・・・・」
「そこ、すべるわよ」
「大丈夫大丈夫〜。
・・・・・・って、えぇっ!!」
リタが言ったそばからは足を滑らせて転びそうになる。
「おいおい、大丈夫かよ」
「ごめんごめん・・・・・・ありがと、ユーリ」
ユーリがの腕を掴んであやうく顔から突っ込むのを防いでくれた。
なんていうかこれってデジャブ?
学習しない子でゴメンナサイ。
はいまもどこかにいるであろうデュークに、心の中で詫びを入れた。
シャイコス遺跡の奥に進むと、中央に大きなゴーレムらしきものがみえた。
古代ゲライオス文明の遺産だろうか、その大きさといい、形といい今までに見たことが無いものだった。
「あ、おい!」
リタが人型魔導器の近くに駆け寄るのを見て、ユーリが声をかけたが、ユーリも興味があるらしく、魔導器に近寄っていった。
「うわ、なにこれ!?これも魔導器?」
「こんな人形じゃなくて、オレは水道魔導器がほしいな」
「ちょっと、不用意に触んないで!」
リタのカロルとユーリに注意をうながす声が聞こえたので、がそちらを見た時、人型魔導器の裏の方に人影が見えた。
見た感じ白いローブを着ているので、アスピオの研究者のようだ。
ユーリも気づいたらしく、リタに声をかけた。
「リタ、おまえのお友達がいるぜ」
リタはその言葉をうけ、魔導器に向けていた顔を人影の方に向けた。
「ちょっと!あんた、誰?」
「わ、私はアスピオの魔導器研究員だ!」
「・・・・・・だとさ」
ユーリが呆れたように肩をすくめる。
「おまえたちこそ何者だ!ここは立ち入り禁止だぞ!!」
「はあ?あんた救いようのないバカね。
あたしはあんたを知らないけど、あんたがアスピオの人間なら、あたしをしらないわけないでしょ」
リタは腰に手を当てながらいった。どことなく自信たっぷりだ。
さすがアスピオの天才魔導少女といったところか。
「無茶苦茶言うね・・・・・・リタ・・・・・・」
は半ば呆れながら溜息をついた。
それをうけた男は慌てて人型魔道器の裏に回り、それに魔核を差し込んだ。
今まで沈黙していた人型魔導器は魔核という動力を得、動きだし、リタにむかって腕を振り上げる。
「リタ!危ない!」
エステルが叫んだが、その直撃をうけたリタは耐え切れず、柱まで吹っ飛んだ。
それを見たとエステルは、リタの元まで駆け寄った。
「今、傷を」
エステルの治癒術がリタを包むと、リタは何かに気がついたらしく、エステルの腕を掴む。
「あんた、これって・・・・・・」
「な、なに!?」
「今の・・・・・・」
「え、えっ?ただケガを治そうと・・・・・・」
はエステルにリタを任せると、人型魔導器の方を振り返った。
ちょうど人型魔導器がユーリ、カロル、ラピードに両手を振り上げているところだったが、3人とも危なげなく攻撃をかわした。
「お〜すごい」
おもわずが拍手を送ったら、ユーリがにむかって下がっているように言った。
私も戦えるんだけどな・・・・・・と思ったけど、後が面倒くさそうなので大人しく下がっていることにした。
しばらくユーリ達の戦っている姿を鑑賞していたが、少々手持ち無沙汰だ。
なにかすることないかなと思って辺りを見渡したら、さっきの男が逃げていくのが見えた。
は、よし、あいつを・・・・・・と
駆け出した。
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